あるイギリスの大学へのポスドク就活の例

少し前に、海外にいる研究者が日本の大学に応募する場合の苦労という話があった:

lambtani.hatenablog.jp

最近、イギリスの大学にポスドクで行くことが決まったので、逆に日本から海外のポスドクに応募する場合はどうなのかという一例を参考までに書いてみる。なお助教ではなくポスドクなので、選考が簡易的であった可能性はある。

  1. 大学公式サイトで公募がかかる。今回は、募集をかける研究者(知り合い)から公募するよという連絡をメールでもらって知った。
  2. オンライン書類選考システムに、アカウントを作ってログイン。
    • この時点で、「3年契約であること」「採用された場合の年収の幅」「勤務地・勤務時間」「職務内容(あまり詳しくはないが)」が明示されていた。特に年収の幅が明示されているところが良い(というか、当然?)。
    • 募集内容に見合ったスキルを持っているかどうかを問うたくさんの質問に記述式で回答する。ワード数制限なし。「我々のプロジェクトではこういうスキル(プログラミングとか、生物を扱った経験とか)が必要だが、あなたはそれらのスキルを保有しているか?具体的なエピソードとともに記述せよ」といった感じ。この方法は、採用側・応募側の双方にとって利点があり、とても良いと感じた。要するにこれはマッチングなのだな、というのがハッキリとわかった。
    • もちろん英語力についても聞かれるが、それは飽くまでも色々なスキルのうちの一つという扱い。
    • 学歴は書いた。業績はどう書いたか忘れてしまった。たぶんオンラインシステム上へ記入したか、業績一覧のPDFをアップロードしたのだったと思う。ORCID だけ書いて終わり…ではなかったと思う。それだと最高なんだけど、その場合学歴をオンラインシステムに書かせる必要が無いはずなので、違ったと思う。
    • 面白かったのは、「顔写真はアップロードしてはいけない」などとあったこと。人種等の差別や、いわゆる顔採用を避けるためだろうか。日本の場合は「履歴書には顔写真添付のこと」なんて書いてあることが普通にある。
    • 当然、性別や生年月日の記入欄はない。趣味・特技なんて欄はもちろんない。国籍はないが、ビザ関係の質問はあった気がする。
  3. サブミットして1-2週間程度だったか…それくらい待つと、「あなたは面接に残った (shortlisted)」という連絡がメールで来た。何度かメールのやりとりをして面接の日程を調整。また、面接までに「イギリスで労働できることを示す書類」を送れと言われるがよくわからず…結局、パスポートをスキャンしたPDFでいいよということなのでそれを送信。
  4. 面接といっても実際に行くわけはもちろんなく、skype で30分間話すだけ。大学の実験室で、ラップトップを有線LANでつないで通話した。
    • 面接官は panel というらしく、今回は3人。公募をかけている研究者と、分野が近い研究者が2人。このうち2人とは既に知り合いだったのである意味では気楽だが、1人の英語が聞き取れず苦労した。直前の1週間はBBC radioを聞いたりしていたがダメだった。単に英語の問題だけではなく、Skype の通話品質もあまりよくなく、ラグがあり、かつ、PTTのように「自分が話している間は相手の声がカットされる」感じがあって、つらかった。また最近は英語で話す機会もなかったことと、緊張のために speaking もけっこう酷かったが、なんとか乗り切った。
    • オンライン選考では聞かれなかったスキルについて、「そういえばお前このスキルはあるか?(X線CTは使ったことがあるか?とか)」というのをいくつかきかれたが、全部正直に No, no, and no と答えた。
    • 音声のみではなくビデオ通話だったが、これもそのうち禁止されたりするのかも…?(顔で判断することを避けるために)
  5. 面接が終わって6時間後に、公募をかけている研究者からメールで採用の連絡。正確には、採用したいが来てくれるか、とあった。すぐに受けると返事。
  6. 大学事務からの正式なオファーが次の週にメールで来た。

受かるにしても落ちるにしても、このスピード感が非常にありがたい。ただし、これは助教以上の faculty ではなくポスドクだったので選考がスピーディだったということは多分あるとは思うので、そこは割り引いていいのだとは思う。もしかしたら、faculty の場合は skype でなく直接来いということはあるのかも…?ただ、どう考えても紙の履歴書を送れとかいうことはないだろう…。

3年後、イギリスでのポスドクが終わりに近づき、日本のアカデミックポストに応募するときには、まさに冒頭のリンク先にあるような状況になることが予想されるので、面倒だなぁ…。それまでにweb応募が増えていればいいけれど。

なお、前にスウェーデンの大学のポスドクに行ったときの選考はもっと簡単で、単にCVをメールしただけだった。Skype で話したことは話したが、採用決定後だった。このときも学会ですでに知り合いになっていた研究者のところだったが、単に縁故採用というわけではなく、ギリギリまで他の候補と迷っていたんだよ、というのを後で聞いた。